この番組で初めて立川こしらさんや古原奈々さんを知った人には、もう一つわかりにくいタッグ結成までのいきさつ。
ここではそれを簡単に説明してみようと思います。
ちょっと大げさな書き方をしていますが、基本敵に事実です。
ほんと、ある意味ドラマチックなふたりの再会ですね~。
WEBラジオ局「すときゃ!」で立川こしらが伝説の番組「立川こしらと梶田夕貴の金曜マッカーサー」を始めたのは2005年3月だった。
「落語家と声優のラジオ番組」というある意味「こしフル」を思わせるこの「金マカ」は、不思議ちゃんで根っからのいじられ体質を誇るぽっちゃり声優・梶田夕貴と、放 送コードぎりぎり(アウト)の強烈なツッコミ&セクハラトークで突っ走る立川こしらの強力コンビの魅力と、Webラジオには珍しい生放送という特性を活か したリスナーのタイムリーな投稿を武器にして、一世を風靡した。
その「金マカ」のあとに放送される番組として古原奈々の「完熟フルハラ」が始まったのは2005年7月。
「金マカ」絶頂期のただ中であった。
はじめは時間的に前後に続く番組同士でありながら、あまり接触がなかった二人であったが、ある日事件が起こる。
そう。
2005年7月22日。
「おっぱいじゃんけん事件」である!
「おっぱいじゃんけん」とはいつしか勢いで始まってしまっていた「金マカ」の人気コーナーで、立川こしらが梶田夕貴にじゃんけんで連続5回勝てば、梶田夕貴のおっぱいをもめるという、空前絶後のコーナーである。
そのコーナーに「完フル」開始後まだひと月も経っていない古原奈々が、今も変わらぬその無謀さで参加し、こともあろうに見事に負けてしまったのである。
その日の「金マカ」のラストで行われた勝負のあと、立川こしらのマジギレの罵声を浴びつつスタジオを逃走した古原奈々であったが、次週「金マカ」に出演し、謝罪するも、立川こしらはさらに激高し、もはやラジオ番組放送中とは思えない混乱となる。
結局梶田夕貴が身代わりとして、立川こしらとのガチのじゃんけん一回勝負で勝利し、立川こしらは結局梶田夕貴の二の腕を揉んでその欲望を満たすという結果 に終わったのだが、「こしら殺す」メールが大量に届き、リスナー間でもBBS上などでかなりの物議を醸した事件として、今も語り継がれている。
というか、今でもその放送を聴き直すと、ヘンな汗が出てきてしまうのは、わたしだけではないはずである。
そして、この事件のあと、変に「金マカ」リスナーの間でもメジャーになってしまった「完フル」と古原奈々であったが、何をトチ狂ったのか、古原奈々も番組内で立川こしらの悪口を言いまくるという暴挙に出る。
もちろん、それを黙って見過ごす立川こしらではなかった。
リスナーからの提案もあり、すときゃの番組に対する苦情を一手に受け付けるという迷コーナー「すときゃ! サポートセンター」内に「完熟フルハラ対策委員会」を設置、古原奈々のことは「オナ原」「マラ原」などと呼び、多少ジョークのわかる人でもまともに聴けな いようなセクハラトークが繰り広げられることとなった。
「金マカ」後半の梶田夕貴の無気力状態は、このあたりのセクハラトークが原因でないかという見方もある。
そして「金マカ」の放送が終了し、引き続き立川こしら一人での「こしらIN」に繋がってゆくが、そこでは「ナナコと俺とYシャツと」という、古原奈々が自分に惚れていると思い込んだ立川こしらが始めたコーナーがあった。
これは古原奈々が立川こしらに告白するシチュエーションを募集するというコーナーであり、結局立川こしらのさまざまな言動を総合すると、可愛い古原奈々が大好き!だけど相手にしてもらえないからいじめてやる! ということになるような気がする。
しかし、そんな二人の接点はある日、終わりを告げる。
「すときゃ!」閉局。
閉局を受け、2007年9月28日には同日に最終回をむかえる「こしらIN」「完フル」に加えて「今夜はマッカせなさーい」「さきむラジヲ」の四番組合同での生放送を行い、ふたりの関係は一旦終わったかに見えた。
その後、立川こしらはそのパーソナリティとしての実力を認められ、ラジオ日本の朝の帯番組「立川こしらのガッテン!こしらじお」のメインパーソナリティと して大抜擢。2年間の放送ののちも、同局の深夜番組「立川こしらのこしら・える時間」パーソナリティを担当、その地位を盤石のものとしてきた。
また、古原奈々も相変わらず代表作は「もじぴったん」のままではあるものの、「金マカ」で出会ったらくだ師匠と共に、マイナー番組ながらFM浦和にて「奈 々とキャメルのキラキラ☆タイムカプセル」を、そして今回の「こしフル」の布石にもなったであろう、すまいるエフエムでの「古原理化学研究所」を担当し、 その実力を磨いていたのである。
そして。
……ついに。
2009年。
両雄は……再び相まみえる。
古原奈々が立川こしらにアプローチして、一つの番組が動き出したのだ。
今までの経過を知るものにとっては、耳を……というより古原奈々の正気を疑ったに違いない。
なぜ、古原奈々は自らあのセクハラの大海原への船出を決意したのか?
古原奈々はその点について「壁に直面しても逃げたくない」と語っているが、その勇気が崇高なものとして後世に語り継がれるのか、蛮勇として笑われて終わってしまうのか?
そして、メジャー局で腕を磨いた立川こしらは、逆にあの頃の鋭さを失っていないのか?
すべては未だ、神のみぞ知るところである。
しかし、きっと。
このふたりはやってくれるはずである。
「こしらにフルな」船出の時は来た。